海外ではモンテッソーリどうやって取り入れてる?オランダの小学校潜入ルポ!
目次
自主性を育てるオランダのモンテッソーリ小学校潜入ルポ
モンテッソーリ教育とは
モンテッソーリ教育は、子どもの自主性を重んじ、本人が育つ力「自己教育力」を重んじ、その環境を整え大人がサポートしていく教育です。
自ら学び、考え、吸収し、責任感と思いやりのある大人、学び続ける大人を育てていく教育ともいえるでしょう。
筆者の子どもたちがオランダのモンテッソーリ校に通っていたので、肌で感じたオランダのモンテッソーリ教育についてご紹介します。
オランダとモンテッソーリの深い縁
モンテッソーリ教育創始者のマリア・モンテッソーリ(1870〜1952)は、イタリア生まれで、イタリア初の女性医師であり、幼児教育者です。
政情や戦争の影響によりスペイン、インドに逃れたあと、76歳にオランダに渡り、亡くなるまでオランダで生活しました。
現在でも北海沿いのNoordwijk aan zeeという場所にお墓があります。
彼女が生活していたアムステルダムの家は、現在もAMI(Assosiation Montessori International)のヘッドオフィスとして残されており、訪問することも可能です。
また、みなさんもご存知の「アンネの日記」の著者アンネフランクも、モンテッソーリ教育を受けていたんですよ。
18歳まで!オランダのモンテッソーリ学校
オランダは日本の九州ほどの国土で、1700万人程度の小さな国なのですが、たくさんのモンテッソーリ関連校があります。
モンテッソーリ協会に登録されているだけでも以下の通り。
オランダにあるモンテッソーリ関連校の数
- 幼稚園・保育園(1歳〜3歳)36校
- 小学校(4−12歳)163校
- 中高一貫校(12歳から18歳)20校
これ以外にも、モンテッソーリの教材や教育を一部取り入れたカリキュラムを持つ学校は無数にあります。
日本では幼児教育のイメージの強いモンテッソーリ教育ですが、オランダでは18歳まで門戸が開かれています。
独立した人格に成長し、社会の中で役に立つスキルを身につけ、責任ある大人として社会的な役割を果たすための教育が行われているようです。
もちろん、モンテッソーリ小学校から他の教育メソッドの学校に転校したり、中学校は一般校や別のオルタナティブ校を選ぶことも多いですし、一般の小学校からモンテッソーリ中学校に入学することもあります。
写真:学校のお祭りにて。ベジタリアンメニューや各国の手作りレシピが並びます
手を動かし学ぶモンテッソーリ教育
子供の成長段階にあった、豊かな教材が魅力のモンテッソーリ。
教材を使った勉強やグループワークでの学びに加え、ドリルなどでの勉強、パソコンを使った勉強などを複合的に取り入れています。
子どもの自主性にまかせた自習メインの授業
オランダの学校は、学校によりカリキュラムも規則も様々なのですが、筆者の子どもたちが通っていた学校でのクラスの様子をご紹介します。
机を島のようにいくつかのグループに分けて寄せ、各自が自分の課題をこなします。
終了したり飽きたら他の課題を行います。先生は順番に子どもたちの間を回っていて、子どもの学習状況の確認をしたり、わからないところを教えたりしていました。
授業参観でクラスに訪れた時には、それぞれがそれぞれの学びをする姿に驚きました。
調べ物学習も多く、調べ物をする中で数字や単語に親しんでいるという印象も強くありました。
クリエイティブな子どもの能力を伸ばしてあげられる教育だなと感じました。
写真:名画レンブラント「夜警」から単語の勉強
小さな社会の一員としてのモンテッソーリっ子
モンテッソーリ教育らしいなと筆者が一番感じたのは、社会の中の一員としての意識を育てる教育が多かったことです。
宇宙の惑星のひとつとして地球という星をとらえ、その中で他の生き物と共存する人間という生き物が、どうしていったらよいか、ということが日々の学校生活の中に溢れていました。
その一例を紹介します。
筆者的モンテッソーリ教育ならではポイント
- 学校には養蜂箱が。蜂が減ると生態系が崩れ人間も生きられなくなる
- ランチにジュースを持って来る場合、生物分解性(容器が土に還る)の容器に限る
- 時事問題や環境問題を頻繁に取り入れる
- 子どもたちが独自に社会環境のための募金活動などを行う
- 学校見学会の際に、英語通訳、手話通訳が入る
オランダのモンテッソーリ学校で驚いたこと
学校への入学を検討している時に参加した学校見学会の時に、8年生(小学校6年生)が各クラスを案内してくれたのですが、すべて英語で説明し、どんな質問にも淀みなく英語で答えてくれたのが印象的でした。
5年生からの学校での教育のみで、しっかり英語で話せるようになるものだなぁと関心しました。
オランダの英語事情に関する以前の記事
もうひとつ驚いたことは、ボランティア団体に所属している担任の先生が、授業を中断し、ボランティアに行ってしまったことです。
当時、オランダでは政府の気候変動政策に反対する農家の人のデモやストライキが多発しており、政府機関の多いデン・ハーグにトラクターなどで集結していました。
デモの負傷者を介抱する人手が足りなかったようで、突然担任の先生に呼び出しがあり出動となりました。
子どもたちは他のクラスに分散され学習を継続できましたが、先生の社会的な役割について子どもたちが考えるきっかけとなりました。
日本では考えられない事態で驚きましたが、結果としては良かったのかなぁと感じます。
最後に
いかがだったでしょうか?
オランダは、人権問題、環境問題の取り組みや、革新的な社会の仕組み、生物多様性に対する意識などが高い国と感じるのですが、オランダのモンテッソーリ校には、その萌芽となるもの、それを育んでいく環境が整っているように感じました。
参考ウェブサイト
https://montessori-ami.org/home
荒井瞳実
2012年から海外暮らし。
2016年よりオランダで高校生から小学生3人の子育て中。
常にナチュラルな生き方を模索しながら、スパでのセラピスト業、アロマ講師、ライター業などを行っている。