自由な発想や想像力を育むニュージーランド発の幼児教育システム「ティファリキ」
目次
『ティファリキ』の幼児教育システムに世界が反応【ニュージーランド】
私はニュージーランドで育児をしていますが、教育に関しては日本との違いを感じることが多々あります。
一言で表すとニュージーランドの教育方法は「自由」という言葉がぴったり。
幼児教育においても、子供が伸び伸びと育つためのカリキュラムが組まれています。
今回は、ニュージーランドの『Te Whāriki(ティファリキ)』と呼ばれる教育システムをご紹介。
実際に娘がどのような幼児教育を受けていたのかも、お伝えしていきますね!
ティファリキのシステムを構成するシンプルな4つの原則
どんな教育方法にも指針がありますが、ティファリキの場合は以下の4つの基本原則を元にしてカリキュラムが組まれています。
これは、ニュージーランドの幼稚園や保育園をはじめとしたすべての幼児教育に適用されるものです。
ティファリキ4つの原則
- Empowerment:幼児教育を通して、学びや成長に必要な基礎力の獲得を目指す
- Holistic Development:それぞれの成長過程に対応するための包括的な教育をする
- Family and Community:家族や地域と密着して広い視野のカリキュラムを組む
- Relationships:人や環境、モノに対して、日々の関わりの中で関係性を理解させる
ティファリキの幼児教育では、人間的な力を付けるために包括的な教育の場を提供し、家族や地域とのかかわりを大切にした成長サポートを行っています。
5つの要素を軸にしたティファリキのカリキュラム
ティファリキでは4つの基本原則と合わせて、より具体的な5つの要素も定めています。
ティファリキ5つの要素
- Well-being:心身の健康を第一に、安全や表現方法のコントロール、発達を促す
- Belonging:所属意識による安心感やつながり、他人への思いやりやルールの重要性などを学ぶ
- Contribution:すべての幼児は平等に学ぶ機会があり、個性を尊重される
- Communication:それぞれの異なる文化や言語が心地よく守られ、促進される
- Exploration:遊びの中で五感を磨き、探究やチャレンジをしながら学ぶ
多くの幼児教育機関が掲げている指針と似たものもありますが、文化や言語の尊重などは多文化が融合するニュージーランドならではと言えます。
ティファリキに基づくニュージーランドの幼児教育現場
実際にティファリキの教育システムを娘が受けて、日本の幼稚園とは違うと私が感じた点についてピックアップしてお伝えしますね。
娘は日本の幼稚園にも短期で通ったことがあり、本人も過ごし方や雰囲気の違いなどを楽しんでいたようです。
ラーニングストーリー
娘の通った保育園には、ラーニングストーリーと呼ばれる一人ひとりの園生活の記録ノートがクラスの棚にあり、園児も親も自由に見ることができました。
内容は、担任の先生が定期的に子どもの園での様子や活動について、写真付きでコメントを記載したものです。
また、専用アプリからもラーニングストーリと同じ内容のものを確認することができ、親もコメントしたり自宅での画像を共有したりできるコミュニケーションツールもありました。
画像を通して園での娘の成長やお友達とのやりとりなどを確認できるのは、親としては大変ありがたかったです。
自由な遊びスタイル
園での過ごし方は、マットタイムと呼ばれる歌や本読みなどの時間、モーニングティータイム(朝のおやつ)、ランチ以外はほぼ自由です。
驚いたのは、トンカチなどの工具もテーブル上に自由に使えるよう置いてあること。
娘が3歳のころは、はさみを使わせるときでさえドキドキしていたので、正直最初はかなり心配でしたが…危険と思えるものも、あえて排除せずに見守りながら挑戦させるのがティファリキ流。
工作スペースや絵の具などを用意した本格的なペイントスペースなどもあり、子どもたちは自由に自分の興味のある遊びに集中できます。
服に絵の具をつけて帰ってくる日もよくあり、のびのびと過ごしていたという印象です。
親も現場に介入しやすい雰囲気
送迎時には、親がしばらく子どもと一緒にいたり作品を見たりといったことが自由にできる雰囲気があります。
これは小学校低学年でも同じなのですが、親が送迎時に教室に気軽に入ることが可能。
先生とも雑談しやすく、子どもがどのような園生活を送っているのかわかりやすいです。
文化を理解しあうさまざまなイベント
多国籍な人種が集まるニュージーランドならではなのですが、それぞれの文化を尊重したイベントを多く開催していました。
たとえば、中国の旧正月やインドのお祭り、日本の文化の日、ハロウィンなどの際には、豪華なディスプレイや文化にちなんだイベントを企画。
私も巻きずしを作りに行ったことがあり、先生も児童たちもとても喜んでくれました。
自由な発想や想像力を育むティファリキシステム
ティファリキのシステムは日本の幼稚園や保育園に比べると、小さな決まり事や集団活動が少ないように思えます。
子どもの自由な発想や表現、個性が尊重されると教育システムと言えるでしょう。
先生の問いかけに対しても、みんなが我こそはと「ハイ!」「ハイ!」「ハイ!」と挙手している姿を見ると、自由でいいな~といつも思います。
ニュージーランドのゆったりとした自由にあふれる雰囲気は、このような幼児教育が背景にあると考えると興味深いですね!
ライター:古屋 恵子
ニュージーランド在住。
イタリア人の夫と7才の娘と毎日にぎやかに暮らしています。
2012年からフルタイムのライターとして活動中。
海外での育児経験を通して、ママさんにとって役立つ情報を発信しています。