自宅で産むという選択。クラームゾルフによる産後ケアが羨ましいオランダの出産
目次
産後に訪問看護つき?!オランダの自分らしい出産とは?
ヨーロッパでも自宅出産が多いオランダ
オランダでは4つの出産場所を選ぶことが出来ます。
病院、出産センター、外来、そして自宅です。
出産センターや外来出産は、出産後問題がなければ入院せずにすぐに帰宅します。
ヨーロッパというと、無痛分娩のイメージが強いと思いますが、オランダでは他国に比べ医療介入のない自宅出産を選ぶ方が比較的多い国です。
家庭での出産は、慣れた環境でリラックスでき、すでに子どもがいる場合などには上の子どもと離れる必要がありません。
産後に病院から退院する必要もないのでのんびりと体を休めることができます。
もちろん出産には助産師が立ち会い、緊急時には病院に搬送されます。
不要な医療介入を避けコストも抑えることができて、合理的かつ自分らしい出産にフォーカスできるメリットがあるようです。
実際に自宅出産を選択した96%の女性が出産に満足したと回答しています。
※オランダもバースプランを作成します。自宅出産の選択肢が。
気になる産休育休、パートナーのお休みは?
産前産後合わせ合計16週間の有給産前産後休暇を取ることができ、予定日がずれた場合も、産後の10週間の休暇が保証されています。パートナー(同性含む)は、産後5日間の有給休暇を取得できます。
その後のいわゆる育児休暇は無給ですが、子どもが8歳になるまで取得する権利があります。育休後は以前と同様のポストに戻る権利を有しているとのことで、話し合いにより子育てと仕事の折り合いをつけて職場復帰するのが一般的です。
その他、妊娠中の通院や危険を回避して勤務することなども法律で定められており、妊婦さんの権利が保護されているといるようです。
オランダはワークシェアリングが盛んな国ですが、他のヨーロッパ諸国と比較すると、育児や家庭については比較的母親に比重が多い印象です。
産後の訪問介護クラームゾルフでハッピー子育てスタートアップ
オランダの産前産後システムで特筆すべきはkraamzorg(クラームゾルフ)という産後の訪問介護でしょう。
クラームゾルフは、いわゆる産褥ヘルパーさんで、ママと赤ちゃんのエキスパートです。出血状況や患部のお手当などの産後の肥立ちのチェックや赤ちゃんの様子をチェックし、必要であればクリニックや病院への橋渡しをしてくれます。
それ以外にも授乳、調乳、おむつ替え、沐浴などの指導(もちろんパパにも!)や、希望があれば部屋の掃除などの軽い家事もしてくれます。
クラームゾルフさんによっては、アロマセラピーやベビーサイン、ベビーマッサージなどの知識を持った方がいたり、日本人のクラームゾルフさんも数名いらっしゃるようです。
オランダでは産後も比較的早い時期から散歩に出たり歩いたりすることが推奨されているようで、床上げ21日の文化を持つ日本人(日本でも現在あまり実践している方はいないかもしれませんが)ママの中には厳しいと感じる方もいるようです。
日本人クラームゾルフさんは日本人の体を理解してくれるとてもありがたい存在だと、オランダで出産した筆者の友人たちから聞きました。
夫婦間、そしておじいちゃんおばあちゃんとの兼ね合いもあり、産後は色々気を使うもの。シンプルに、そして今現在の育児を教えてくれるクラームゾルフシステムは出産直後のストレスを最低限に減らすことができるような気がします。
法的にはトータルで24時間〜49時間、最長10日間のケアを受けることが可能です。加入している保険で費用はほぼ充当されますが、現在では1時間あたり500円程度の自己負担が発生するようです。
クラームゾルフさんの車を見ると、近所に妊婦さんがいるんだなーと実感します。
最後に
いかがでしたか?筆者は日本の公立病院、日本の助産師さん立ち会いで自宅出産、インドネシアバリ島の助産院での出産を経験した「出産マニア」を自負しているのですが、もう出産の予定がないのでオランダのこの素晴らしい出産システムを利用できないのが本当に残念です。
出産後の友人宅に訪れると、白衣を着たクラームゾルフさんがコーヒーを飲んでいる姿に何度も出くわしており、おおらかで、そして安心感があっていいなぁとその都度思います。みなさんの出産はどんな体験でしたか?これからお産を控えている方はどんな出産をしたいですか?
データ出典
https://www.perined.nl/
https://deverloskundige.nl/
荒井瞳実
2012年から海外暮らし。
2016年よりオランダで高校生から小学生3人の子育て中。
常にナチュラルな生き方を模索しながら、スパでのセラピスト業、アロマ講師、ライター業などを行っている。